Interview

型にはまらない、高架下オフィスという選択

Vol02

artless Inc.

INTERVIEW:川上シュン

日本の美学を取り入れた、彼独自の洗練されたアート、デザインを国内だけでなく海外にも広め活躍されている川上シュンさん。世界的に権威のあるアワードをいくつも受賞されています。アーティストとして活躍する一方artless Inc.の代表も務めていらっしゃいます。

ブランディングやデザインコンサルティングを中心に建築やインテリアに至るまで多岐に活動されている同社。彼らのオフィスは中目黒駅の高架下に位置し、黒で統一されたシックでオープンな空間です。彼らの高架下ならではのオフィス創りのポイントや、このオフィスに移転してからの働き方などを代表の川上さんにお話を伺ってきました。

  • 所在地中目黒
  • 業種ブランディング
  • 広さオフィス68㎡|カフェ・ギャラリー68㎡
  • 竣工年月2016 年12月
  • 設計期間-
  • 施工期間3ヶ月

変化を求めたオフィス探し

無駄な仕切りがなく広々とした開放感のある彼らのオフィス。一見、おしゃれな家具屋さんと思い、間違えてドアを開けてしまいそうです。入ってすぐ左手にある黒塗りされた松の木のオブジェが、このオフィス全体、そして川上さんを象徴しているかのよう。

川上:
僕らの考え方としては、オフィスにオフィスを入れたくなかった。

クリエイティブを生業にしている事もあり、一般の企業がオフィスを構えるような場所に自社のオフィスを構えるという選択は避けたかったそう。一般的な考え方からあえて外れることに、驚きや面白味を期待したそうです。

以前は代官山の高層ビルで、オフィスフロアではなく、レジデンスフロアの広めの一室を借りて仕事をしていたそう。
また、裏原宿にもコーヒースタンド兼セカンドオフィスがあり、2ヶ所で事務所を構えていた同社。コーヒースタンドを併設してのオフィス、プライベートな空間で集中して仕事ができるオフィス空間。それぞれ異なった性質を持つ2つのオフィスを融合させるようなものを作りたいと考えていたそうです。

そのタイミングで物件探しを始めた同社ですが、当初は代官山・表参道・渋谷で探しており、元々中目黒は検討範囲外のエリアだったとか。

川上:
実は恵比寿でもちょっと嫌だなって思っていたんです。飲み屋があるから。僕らが作っているクリエイティブのトーンに合わないというか…。僕らが作っている物に合う場所を探していたんです。

そのころ中目黒はちょうど再開発が進んでいました。
町の変化に興味を持った川上さんは、町の様子を見に中目黒を訪れ、今の高架下再開発計画のチラシを見つけたそうです。

 

川上:
NYのブルックリンみたいな空気の、少し倉庫みたいなオフィスを持ちたいなって思っていたんです。ここはいわゆるスケルトンで倉庫みたいな感じがした。高架下って通常ネガティブな設定なんですけど、その場所設定が少し変わってて面白いかなって。

薄暗いイメージや電車の騒音などネガティブな側面を持つ高架下に、あえてオフィスを構えることで、仕事の内容や新たな出会いなど、どんな変化が起こるのかが楽しみでここに決めたという川上さん。
今後の変化に興味を持っての移転。さすが、クリエイターならではの発想に感心させられます。

コミュニティを生むオープンな空間

躯体があらわになっている同社のオフィスですが、最初から天井が貼ってあったら借りていなかったといいます。

川上:
天井は隠さないで、躯体などは出したままにしてもらった方がいいですね。僕らみたいな人は、剥がしていいって言われたらどうせ剥がしてしまうので。リアルゲイトさんの上手さはそこじゃないですか。クリエイター心が分かったうえで、他では見つけられないスタンスで用意していると思います。

スケルトンにこだわって探していたわけではなかったそうですが、彼らのような感性の高い人にはスケルトンはありがたいといいます。

最初の内見のタイミングで、悩むことなくやりたいことがほとんど見えすぐにスケッチを書いて図面を起こしたそう。内装はほとんど3ヶ月くらいで完了し、引っ越しも含め4~5ヶ月というスピードで終わったんだとか。

川上:
悩む仕事は基本うまくいかないですね。打ち合わせの時にいいアイデアが出て、それで提案してうまくいくのがいいプロジェクト。そうではないときは大体うまくいかないですね。

作品を制作するときも基本悩むことはないという川上さん。まさに閃きと才能ですね。

新たなオフィスを構えるにあたり、クライアントや友人、彼らの仕事に興味がある人たちが来やすい、少しオープンな場所にしたかったという川上さん。オフィスの隣は同社のコーヒースタンドになっており、その裏のスペースにはギャラリーが設けてありました。少しオープンでパブリックな場所を作ることで、コミュニティを生み、そしてその次のステップで仕事の依頼に繋げるのがポイントなんだとか。

そんな彼らのオフィス創りは、高架下ならではの良さ、個性を活かしつつ行われました。

川上:
塗っていいところは全部塗って、配置されている家具は色味を揃えてセッティングしています。壁の色もただの黒ではなく少しブルーが入ってます。

その深みのある黒が一つのトーンとして部屋に奥行きや広がりを与えている。一部だけ見せる壁として作られたというブルーの壁には、周辺のシェルフやオブジェも色が統一されており、オフィス全体に洗練された雰囲気を与えています。

自由な発想やアイデアが湧き出る働き方

秘密基地のようにしたかったという同社のオフィスは、確かに堅苦しさのない基地のような雰囲気を感じます。ここに移転してから、フレキシブルで動きが流動的になったことで、外で仕事をする方もいるんだとか。

再開発されて賑わっている中目黒駅周辺にはカフェやベーカリーなど様々なお店が密集しているため、社員の皆さんもランチのときは以前よりも外に出るようになったといいます。

川上:
一人ひとりの個性とか自主性などを僕は大事にしているので、それぞれが担当するプロジェクトをきちんと責任を持ってやってもらえれば、仕事のスタイルやスタンスなどは自由にしています。ポジティブな意味でサボるって悪くないことなので。気分転換とか、結局はいいパフォーマンスに繋がるわけだから。

フレキシブルな働き方や考え方が、クリエイティブな仕事に繋がる。場所を変えることで集中でき、より良いアイデアが出るのは彼らにとっては何より大事な事かもしれないですね。

ふとオフィス内を見回すと、社員の皆さんのお洋服がお揃いかのように黒で統一されていることに気づきました。

川上:
ばらばらにするのが好きじゃなかったので、ドレスコードを実施しています。モノトーンとか黒系にしています。だからと言って、スーツとかジャケットを着るのもなんか微妙かなって。このオフィスでみんなスーツってなんだか堅苦しいし。もちろん着ないといけないときはありますけどね。

このオフィスに移転してからドレスコードもより浸透したそう。自分たちのブランドマネジメントが出来ない会社に、クライアントが自社のブランドマネジメントを頼むわけがないという発想が生んだこのドレスコード。シックなオフィスの色味とマッチし、ここで打ち合わせをしたときの説得力は計り知れないでしょう。

多種多様なお店が集まり、人が気軽に立ち寄れる高架下の風景は、都会的でありながらも、どこかレトロな雰囲気を感じさせます。高架躯体は改修できないなどいくつかのハードルはあったものの、それを逆手に、一つの個性としてオシャレに活かし、彼ら独自の空間に仕上げたセンスの良さは、同社でなければ創り上げられなかったと思います。

Company Profile
artless Inc.
WEBSITE : http://www.artless.co.jp/
業種  :ブランディング、デザインコンサルティング
創立年 :2001年
社員数 :15人


物件情報

名称  :NAKAME GALLERY STREET at 中目黒高架下
所在地  :東京都目黒区上目黒二丁目45番14号,45番12号,43番20号,45番18号
構造   :鉄骨造1 階建
竣工年  :2016 年12月
WEBSITE :http://nakame-koukashita.tokyo/

 

|リアルゲイト広報の椎名美澄がオリジナルなオフィスを構えるクリエイターや経営者のオフィスへ訪問|
オフィスが完成するまでの経緯や、実際に働いてみてどう感じているのかなど、オフィスについてお話を伺い、型にとらわれないオフィス創りの魅力や新しいオフィスの在り方をお伝えしていきます。