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古ビル再生|日本橋富沢町リノベオフィス、オープン後1ヶ月で満室へ

2018.05.28

2018年5月28日発行週刊ビル経営掲載記事


高収益化と早期リースアップのための戦略とリーシング計画

この連載企画では、競争力が低下した築古ビルをニーズに適う形でどう再生し、リブランディングしていくのかを弊社物件の事例をもとに解説していく。第5回目となる今回は、日本橋富沢町、築31年の7階建ビル1棟をオフィスと店舗の複合施設へとリノベーションした事例を紹介する。以前も事務所として使用されていた当ビル。
1階は店舗、2~7階はオフィス、そしてルーフトップから構成される。オフィス区画は全17区画。1区画の平均面積は14坪、平均坪単価は約2.1万円。日本橋周辺のオフィスビルの平均坪単価の約2倍の賃料設定に関わらず、オープン後1ヶ月も経たないうちに全区画がリースアップした。
そもそも日本橋は、行政の政策により近年ファミリー層の高級マンションが誘致される一方で、一部では昔からの卸問屋や製造業の事務所などが残っている独特なエリアだ。クリエイティブなオフィスビルは少なく、需要があるか迷ったが高級デザイナーズマンション等の供給が増えている事もあり事業をスタートさせた。

当物件の成功の要因は3つある。まず最重視したのはビルの外観と1階のテナントである。1階のテナントは、ビルの前を通る人の目に付くため、ビルのイメージの大半を決定する要素となる。外観は二の次で、賃料のみを重視したテナントを1階に誘致し、上層階が空いているビルをよく見るが、上層階の割合が多いビルは1階の賃料を下げてでもビル全体の価値を上げるようなテナントを誘致すべきと考えた。今回は、入居者に割引をする条件でコーヒーとクラフトビールを出すテナントを誘致。店舗の外観とビルの外観もマッチさせ一緒にリニューアルすることでバリューアップを果たした。

2つ目は共用部を充実させたことだ。デザイン性のあるラウンジやエントランス、会議室や共用トイレを設置した。個室のスモールオフィスを選ぶ事業者の中には、マンションでSOHO利用から移る人も少なくない。特に、水回りが専有部にあるSOHO利用者にとっては、男女別の共用トイレの有無は重要で、希望条件として挙げる事業者も多い。人に自慢できるおしゃれな共用部があり、清掃も毎日してくれて、法人登記や社名表示等も可能となれば入居のメリットは大きい。

最後はリーシング計画だ。初めてのエリアだったため、新たな需要を獲得する必要があった。分譲マンションのリーシングと同じ様に、現地看板やWEB広告など仲介業者に頼らない戦略的な集客を行い、顧客を獲得することができた。

以上3点が当物件の高収益化と早期リースアップの要因である。今後築古中小ビルはその競争力がさらに問われる時代になる。オフィスビルに関して言えば、スタートアップ企業の増加や働き方の多様化から、デザイン戦略やリーシング計画による差が顕著に表れるようになるだろう。弊社では、長期的・安定的なビル経営のサポートができるよう、不動産本来の良さを残しながら、さらに良いものに蘇らせ、リブランディングを行っていく。