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古ビル再生|リノベ物件、リーシングと運営面でも差別化

2018.04.30

2018年4月30日発行週刊ビル経営掲載記事


ビルオーナーによるスタートアップ企業支援の仕組み

競争力が低下した築古ビルをニーズに適う形でどう再生し、リブランディングしていくのかを弊社物件の事例をもとに解説していくこの連載企画だが、第四回目となる今回は、物件の再生事例からは少し離れ、リーシングと運営面での取り組みを紹介したい。

弊社が企画運営する31棟の物件の入居企業数は約1050社、入居者数は4500人にのぼる(2017年10月時点)。1社あたりの平均社員数は約4.5人。その入居者の多くを占めるのは、スタートアップ企業やクリエイター。欧米ではそういった企業へのサポート体制の充実が進む一方で、日本ではまだ整っていないのが現状である。そこで弊社では彼らがよりビジネスに邁進できるような環境づくりを目指し、ビル自体のリノベーションに加え、リーシングや運営面でも他と差別化を図っている。

1つ目はリーシングでの差別化だ。特にスタートアップ企業ではそうだが、近年、「らしさ」を表現できるオフィスを求める企業が多い。
しかし、自社独自のオフィス空間を創るとなると、日本の不動産業界のシステムでは、入居時の初期工事費のコストや退去時の原状回復の義務など制約が多く、状況変化の激しい彼らには厳しい。そこで提供しているのがオーダーメイドオフィスだ。各社のアイデンティティをオフィス空間で表現できるよう、あえて躯体現しのスケルトン状態で引き渡し、原状回復義務も免除。
さらに、場所をただ貸すだけではなく、物件探しから設計施工までを一気通貫でサポートしオリジナルの空間づくりをお手伝いしている。
また、入居時の契約内容も利用者に合わせて作り変える。3月にオープンした渋谷の新物件では、スタートアップ企業に向けた環境づくりに徹底して取り組んだ。開業間もない企業でも、規模や目的に合わせて自社の看板を掲げられるよう、入居時の保証金と事務手数料を無料にし、入居審査基準緩和、さらに短期間での契約が可能なサポートプログラムを導入。伝統的な賃貸の仕組みに捉われず、立地や広さ、内装、契約の内容などそれぞれのニーズに柔軟に寄り添った体制を整える必要がある。

2つ目のポイントは運営面での取り組みだ。日々の迅速な問い合わせ対応はもちろん、直接利用者の声を聞くことで現場のニーズを素早く汲み取り反映できるような体制をとっている。
例えば入居者サポートとして、ゴールドジムの利用チケットやオーガニックスナックを低価格で提供。交流会も適度に開催することで、同じステージに立つ企業同士が繋がりを持てる場を提供する。会議室やイベントスペースも併設し、ビジネスに最適な環境を整えている。福利厚生を整える事が難しいスタートアップ企業や中小企業にとっては嬉しいサポートのようで好評である。

中小古ビルの老朽化・高齢化が深刻化している現在、不動産再生は単にビル自体をバリューアップさせるだけでは意味はない。デザインや機能性も加味したリノベーションに加え、どういう人が入居し、彼らが何を必要としているのかを汲み取り、新たな価値として付加していかなければならない。弊社では、入居する企業と空室やビル経営に悩むオーナーの両者の思いに寄り添ったモノづくり・コトづくりで不動産リブランディングを行っていく。