PRESS

古ビル再生|THE WORKS 中目黒

2018.01.29

2018年1月29日発行週刊ビル経営掲載記事


築49年EV無し5階建旧倉庫兼事務所、満室稼働の人気複合施設へ

2020年の東京オリンピック開催に向けた大規模開発が進み、オフィスや住宅の新規供給は急増している一方で、東京では築20年以上の中小規模オフィスビルがその全体の8割以上を占める。そしてこれからビルの高齢化はさらに進む。
競争力を失った築古ビルをニーズに適う形でどうリブランディングしていくのか。この連載企画では、弊社物件の事例をもとに競争力を失った不動産を再生するポイントを解説していく。

初回となる今回は、中目黒駅徒歩15分、エレベーター無し、築49年の5階建て旧倉庫兼事務所のビル1棟600坪が、リノベ後、オフィス賃料坪単価が専有部で約2.5万円、平均では周辺オフィス相場の約2倍になったにも関わらず、開業後2カ月でリースアップし、4年経った現在でも満室稼働が続く人気物件「THE WORKS」へと変貌した事例を紹介する。当施設はNYのリノベホテルを彷彿とさせるクリエイター向けの複合施設で、1階はレストラン、2階はイベントスペース、3階から5階までがオフィスで構成される。

当リノベの主なポイントは二つある。一つめは、その古びた倉庫の雰囲気を活かしたデザイン性の高さだ。廊下や会議室、各階に設置しているラウンジなど共用スペースにはウッド調の素材を取り入れ、モスグリーンを基調としたデザインを施した。
アートやグラフィックを随所にちりばめることで、クリエイティブかつ温かみのある空間に統一した。
解放的なスカイテラスでは、芝や植栽、サンベッドが作り出すリラックスした雰囲気に、アートを差し込むことでエッジの効いた空間を演出。
また、外観を含めビル全体をデザインできたことが、不動産自体の価値や周辺エリアの価値を効果的に高めることに繋がった。

二つめは、一部の大区画でオーダーメイド型のオフィスプランを新たに導入した事が挙げられる。このプランでは、クォータースケルトン状態で区画を貸し出すことで、入居者はコストを抑えながらも、想いのままに空間を作り込むことができる。
一定の条件はあるものの原状回復の義務も免除し、タイルカーペットと蛍光灯で作られる無味乾燥な空間を貸出すことを良しとする日本の不動産業界のもどかしいシステムをとっぱらった。働き方が多様化している現代、このプランの採用は自由度の高いオフィスを求める中小企業とっては活気的なサービスとなったようだ。
他物件でも当プランへの問合せは多いが、働き方の幅が広がるにつれ、需要も変化していくだろう。
以上の二つのポイントが当築古物件を一気に人気スポットへと変貌させた主な要因だ。
元々の物件の特徴と、世の中のトレンドとを掛け合わせる事で成功した事例である。
老朽化した不動産をいかに化粧をしていくかを、その物件の状態や歴史はもちろんのこと、エリア特性やユーザーニーズ、世の中のトレンド等を有機的に結び付け、柔軟に考えていかなければならない。
モノからコトを求める時代となったいま、不動産は単なるハコでは貸せなくなった。
トレンドを的確に捉えたアイデアを持って不動産の在り方を変えていく必要があるのだ。

(著:代表取締役社長岩本裕)